目が覚める

どうやら、私の気持ちが被災者になっていたようだ。
家と職場の往復で、いまいち全体像を把握できていなかった。ようやく町に出て人と話して色々な話を聞いて、あれ、と違和感を感じた。案外、平気そうだぞ。 

新聞やニュースを見ると痛ましい被害の様子が映っており、ああ、私の目に見えないだけで、倉吉北栄三朝はどこもこんな状態なのかと思っていたが、そんなこともないようだ。確かに、瓦屋根がずれてブルーシートで補修したり、割れた食器等が散乱したお宅も多い。大きく揺れて一時混乱したのは事実だ。でも、どこもかしこも大きな被害に見舞われて町全体がシュンと静まり返っているわけではないことに、今さらながら気付いた。コンビニにはおにぎりも普通に売っているし、スーパーも開いている。陸続きの道も生きているので、鳥取県内からも調達できる。

今日は少し時間ができたので、図書館のボランティアに行って、そこで色々な話を聞けた。散乱した本を書庫に整理するのだが、私が行った時にはほとんど終わっており、おやつのたい焼きを食べて解散。これじゃあたい焼き泥棒だわ。

午前中に湯梨浜町のボランティアに行ったという方の話が印象的だった。ニーズは屋根瓦の補修と、散乱した家の片付け。屋根瓦は雨天は危険、家の片付けは女性の方が良いとか学生は可能か、などニーズとニーズがなかなか合致せず、結局家族や近所の者でやるから結構です、となり、みんな図書館に流れてきたから作業が捗ったそうだ。こんな混乱の中でも、県外から火事場泥棒が来ているらしく、それを警戒してよそ者に家の中に立ち入られる荷物整理は敬遠されるのだそうだ。なんてこと。

知り合いのお店に顔を出すと、少し食器は壊れたものの、大丈夫。報道は少し過剰なのではないか、とみんな口を揃えて話していた。どうりで、県外からもみんな心配してくれるわけだ。我が家は少し変な臭いがするものの水も出る様になったし、余震は心配ではあるけれど、生活は元に戻った。大丈夫。ありがとう。

地震当日夜に、余震が怖くて避難所に泊まられた妊婦さんは、不安で眠れなかったと言っており心が痛むが、夜が明けて安全を確認して家に戻られた方も多い。まだ帰れず避難所生活している方(主に一人暮らしのお年寄り)に支援が行き届くのが今の課題なのかな。

「私らは、ここいら一帯、散々温泉の恩恵を受けているから、たまにはこういう目にも遭わんとバチがあたるわ。そう考えんといけんわ」
今日耳にしたこの言葉が印象的だった。やはり、外に出て、人と話すと視野が広がる。みんな、明るい。

支援が必要な人に必要な支援が届くように、引き続き、自分にできることをできる範囲で。余計な風評被害に、知らず知らずのうちに自分が加担しないように。

地震の前日に摘んできた秋桜の蕾が咲いていた。よくぞご無事で。f:id:saorelax:20161024110627j:plain