迎春

春が来た。

新生活。引っ越しだ。二年間住んだマンションを引き払い、友人と三人でシェアハウスをすることにした。一人暮らしが大好きで、シェアハウス、ルームシェアなんて一生しない、する人の気が知れない、と思っていた私がおかしな巡り合わせだ。やはり昨年の地震が大きかった。身よりと遠く離れた地に住み、私は独りを感じて自分が思っていた以上に寂しくて心細かったのだと思う。

二年住んだ家を離れるとき、もっとセンチメンタルになるかと思ったが、案外スッキリしたものだった。どうもねー、くらいな感じ。楽しかった思い出も、悲しかった思い出も、やっぱり楽しかった思い出もいろいろあった。いろいろ詰まって、お腹いっぱいだ。二年間の凝縮しまくった時間を全うしてくれたので、次のステージへ気持ちよく出発する。契約更新などもないので、このまま職場から五分の好立地のこの家に住み続ける方が無難だし楽だ。でも、可もなく不可もないところへ留まることは、なんとも守りに入っているようでもやもやとするので、踏み出した。せっかく鳥取に来たのに、マンションに住むというのもナンセンスだとずっと思っていた。今度の家は古民家で、地域の方との関わりも増えてくる。怖くもあり、楽しみでもある。はて、どうなるか。

同居人たちの中性的な感じもとても安心する。受け入れてくれて、本当にありがたい。食習慣が全然違っていて驚くこともあるが、そこはうまいこと擦り合せていく。持ちつ持たれつ、を無理のないバランスで保っていきたい。荷物運びが終わり少しずつ片付いてきて、今日から本格的に生活が始まる。片道五分の通勤時間が二十分になって職場の方からはブーイングがあったが、そこは発想の転換だ。家と職場の往復ではなく、雄大な大山を眺めながらの出勤時間は楽しいドライブの時間。最短ルートではなく少し遠回りして左右を畑に囲まれた田舎道をブイーンと突っ走って仕事へ行こう。鳥取生活四年目、第三章の始まり。どんとこい春!

(第一章:若葉寮でのユートピアな日々、第二章:エスポワール、それは希望)

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