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里帰る

どさくさに紛れて四連休を取り帰省してきた。どさくさ、というのは四月末に二日、五月頭に二日連休を取るというもので、シフト上長期休暇を取っていることがばれにくい。この技を最近あみ出して、時折している。なんと小手先だけの技だとも思うが、連休が取りにくい職場では印象操作というものも大切である。盆暮れ正月もないので、これくらいは大目にみてもらおう。

三ヶ月ぶりのトーキョーはとても充実したものだった。帰省すると、時間の使い方にいつも悩む。なかなか実家に帰れない場所にいると、祖母や家族と過ごす時間や実家でゴロゴロの優先度が高くなる。行きたい場所も会いたい人もいるけど、最低限のwantを選んで結局実家でのんびり、が多かった。こう考えると、田舎に帰るという構図はとても理にかなっていると思う。実家が田舎だったら心置きなくのんびりできるが、東京は誘惑が多すぎる。今回は四日間もあったので両方できてお腹いっぱいだ。

雨に唄えば』のミュージカルも見れたし、見たかった映画も二つ見た。日本民藝館にも民藝カレーやさんにも行けたし、BEAMS濱田庄司さんの展示も見て、銀座たくみさんで素敵な再会も果たし憧れの小鹿田焼きの大皿も手に入れた。ミーハー心で、話題の銀座シックスの草間彌生バルーンも眺めてきた。懐かしい友人にも会えたし、鳥取に住む友人の原宿での絵の展示にも顔を出せた。原宿で見る鳥取大山の鮮やかな絵は誇らしかった。

民藝に興味を持ち始めた目で東京を眺めると、なんとも魅力的なイベントや展示が山ほどあるなあ、と驚く。学生の頃よく通っていた新宿のBEAMSのビルが、いつの間にか服ではなく日本の文化発信の建物になっていた。新宿駅東口から徒歩五分の場所に全国のかなり洗練されたカッコイイ器がセレクトされて並んでいる。おねいさんも器に詳しく、色々と教えてもらえて楽しかった。島根の出西窯や湯町窯、鳥取の中井窯もあり、嬉しくなる。服を買うように、器を買う。入口としてはとても良いし、贅沢だなと思った。ただ、もし自分が東京にいたら、その贅沢さに気づけただろうか、とも思う。逆に、窯元さんにひょいと足を運んでその土地や作り手さんを感じながら器を手にできることのありがたみも感じた。

日本民藝館は土曜の朝から人だらけだったし、中目黒や学芸大学など渋谷から電車で十分圏内に行きたいイベントが目白押しだった。たった一日あれば全国から集まったかなり面白い、貴重なものが堪能できてしまう。それが東京。あたりまえだと思っていた光景が、実は貴重で価値あるものだったなあと改めて思う。

映画もしかり。先日、自主上映まで半年待って楽しみにしていた映画が、行ったらもう半分終わっていたという悲しすぎる事件があった。松江まで二時間かけて駆けつけたのに、ホームページに記載されていた時間が間違っていたそうだ。こういう出来事は、うう、と思う。だから、今回は見たい映画を予定に組み込んだ。組み込もうとすれば、いくらでも組み込める。それが東京。

じゃあ、東京にいた時にその溢れる魅力的なものたちを余すところなく味わえていたかというと全然そうでもなくて、正直垂れ流していたと思う。それくらい、東京は良い意味でも悪い意味でもtoo muchなのだ。上手に取捨選択できればよいし、している人もいるし、そういう人に憧れるのだけれど、私は東京に行くとどうしても欲張りになる。だから、この四日間はとてもちょうど良くて、ギュッと詰まっていて心底楽しかった。

東京の良さ、鳥取の良さ。その両方を改めて感じた時間だった。三十数年生きてきて、自分にとって欲しいもの、大切なものがだんだんわかってきた。欲しいものはどこへだって取りに行くし、行ける自分でありたいし、それができれば拠点は本当にどこに置いたって同じだなあと思った帰省であった。

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