地平線

旅に出ると、自分を客観視できる。世界は広いのだと、改めて思い知る。そして、悩んでいたことがばかげてちっぽけなことだったと気付く。

 

昨日と同じ自分だとは思えないくらい元気になった。

 

今回の一番の収穫は、自分の力で神戸まで行って帰ってきたということ。バスや電車ではなく、自分で運転して行ったこと。本来、お金の節約くらいの気持ちで車を選んだが、結果的には高速代、ガソリン代、駐車場代、そしてなにより時間と労力を考えるときっとバスの方がよっぽどリーズナブルで楽チンだった。それでも、「私は自力で神戸まで往復することができた」ということが、自己効力感を回復させるのに相当意味があったと思う。

 

過程に、色々な気付きがあった。

 

中国自動車道も山陽自動車道も、関越自動車道に比べたら全然怖くない。山陰道に毛が生えたようなもんだ。神戸の町の混雑も、東京に比べたら全然怖くない。
なんだ、私、どこへでも行けるじゃん。というワクワク感。

 

いくらかかるかわからなくて怖かった駐車場代も、工夫をすれば限りなく0に近づけられた。街中で駐車場を見つけることも、ぐるぐる回ればなんとかなった。

なんだ、私、できるじゃん。

 

今までETCの方が簡易的だし安いしお得だと思っていたが、料金所のおじさんと会話を交わすことがこんなに温かい気持ちになるのだと初めて知った。早朝や夜中の高速道路、人と話すこともなく黙々と運転している時に

 

「いくらですよ、はい、気をつけて行って来てね」

 

こういう会話を人と交わすことで、ふと口元が笑顔になってまた気持ちが新たになる。人としゃべるから顔も少しよそ行きになるし、こんな時間でも働いているその人に思いを馳せて、ありがたいなと思う。人を感じることは、効率化とはまた別の次元にあることなのだと改めて気付いた。

 

今回の目的は、神戸に行って講演会を聞いて帰ってくる。それだけだったはずなのに、車で行ったからこそ、目的の講演会だけでなく、早めに行って大好きな人とランチが出来たり、カルディで最近お気に入りのパクチーラーメンを大量買いできたり、助産院で出産したばかりの大好きな後輩に会いに行って、助産師さんに助産院を案内してもらえて人生について聞くことができたり、西明石のラーメン屋さんに寄って、大好きなヨロン島のおじさんのソーキそばも食べられた。目的以外の細やかなあれこれが組み込めたのもすべて、時間の制約がない車だからこそ。

 

なんだ、私、できるじゃん。
これを積み重ねていくことが本当に大切。

 

Expand the horizon 地平線を広げろ。

 

そしてまた、明日からこの町で生きていく。