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穴場

きづき

誰かと一緒にいると、想定外の出会いや展開があっておもしろい。自分一人では特にアクションせずに終わることも、もう一歩違う行動が加わることにより、広がりがでる。アテンド側として自分の知っている知識では補えない場合、「なんとかしよう」という想いが、人をつき動かす。無意識で自分の中に芽生えた謎の責任感と使命感が、思い返すと愉快でナイスだ。

友人が島根の遠方から遊びに来てくれたので、お気に入りの激渋温泉に連れて行った。ネットで定休日でないことを確認。時間も確認し、盤石な状態で臨んだにも関わらず、なんと故障により臨時休業。時間も限られていたので、とりあえず激渋喫茶店でモーニングをしながらどうするか考えようということになった。移動して遠くの温泉へ行く時間はない。でも早朝から開いている温泉は知る限りない。その子は温泉好きで、激渋温泉に入ることを昨日から楽しみにしていた。はて、どうするか。苦肉の策で、マスターにこの辺りで朝から開いている温泉を他に知らないか、と聞いてみたところ、二つ返事で徒歩五分の温泉を教えてくれた。老人福祉センター内にある入湯料二〇〇円の温泉。とりあえず、そこに行ってみようとなった。建物は公民館のような何のへんてつもない造り。情緒のかけらもなく、施設内移動中は、「せっかく遠くまで来てもらったのに、こんな所しか紹介できなくてごめん」と申し訳ない気持ちでいっぱいだった。でも、浴場は広く、なかなかレトロで湯はきれいで透き通っている。塩素の臭いもしない。そこいらの銭湯よりもよっぽど味があり、激渋通の私もすっかり気に入ってしまった。

温泉は近所に沢山あるが、観光客向けの温泉はどうも気取っていてよくない。私の求めている温泉・銭湯は、地元の人が毎日通うような、気軽で小汚くて、生活感の溢れる場所。生活の中に根付いた、コミュニケーションの場だ。今日行った温泉は、まさしくそういう場所だった。

驚くべきことは、この温泉のことがインターネットには載っていないことだ。つまり、今回のように口コミでこそ初めて得ることができる情報だった。穴場、とはこういうものなのだと思った。自分一人でいたら、本来行く予定だった温泉が休みの時点で、自分の知っている別の温泉に行くか、温泉自体を諦めていただろう。限られた時間内にこの温泉好きの友人を満足させるには。その友人がいたことで芽生えた、ホスピタリティが私を行動させ、今回の素敵な出会いに繋がった。まだまだ、私の知らない穴場があると思うとワクワクする。今日の教訓を生かし、ネットだけに頼らず地元の方に教えを乞いながら、さらに激渋街道を突き進んでいきたいと思う。経験値1アップ。

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