素因数分解

長野県諏訪市にある建築建材のリサイクルショップ、

ReBuilding Center JAPAN”通称リビセン。松本にある大好きな本屋さん栞日 sioribiさんが、前から素敵だったけど大々的に改装し、開放的でさらに独創的な空間として生まれ変わった。それを担ったことで有名。今年の森道市場にリビセンのお二人が出店されていて、シュッとしすぎず気さくで愉快で、とにかく楽しそうに話す方だなあと印象に残った。そのリビセンの自費出版のちいさな冊子。これは読まなければと思ってネット購入した。鳥取では市内にあるホンバコさんで手に入るそうだが、若干遠いので自力で手に入れたところ、代表のアズノさんの手書きのメッセージと似顔絵が。こういう細やかな心遣いはぐっとくる。題字やデザインは松本で活動される詩人のウチダゴウさん(してきなしごと)。ゴウさんの文字は、細くて長くて、それでいて意思を持っていて、生きている感じがして好きだ。

解体される家や学校や公共施設。その際に出る廃材古材を待ち受ける運命は、ゴミとして焼却廃棄だ。リビセンは、それらをレスキューし生き返らせる。吉祥寺の名店「お茶とお菓子・横尾」の窓際カウンターとして使っていた古材が、横尾閉店時レスキューされ、武蔵境にある「お酒と料理えいよう」の大テーブルとして生まれ変わったそうだ。閉店は寂しいけれど、かつて自分も座ったカウンターが、また形を変えて生き続けていると思うと嬉しい。

粋だなと思ったのは、「お先にどうぞ」の精神。古道具屋さんであれ個人であれ、他の誰かに求められているのであれば、お先にどうぞ、とまずは待つ。これ以上引き取り手がいない段階になって、レスキューできるものをレスキューする。リビセンは、目の前の利益ではなく先にある景色を見据えている。「楽しくたくましく生きていける」これからの景色。

因数分解する」という発想もとても共感できた。コップはコップでしかなく、壊れたら壊れたコップとして廃棄して次のものを、ではなく、因数分解してもう一度作り直すという発想。これは何で出来ているのか。どうやって作るのか。素材や構造を知る。そうして初めて、直す、というイメージが湧いてくるのだ。私が、先日藍染めをしてしみがついて捨てようと思っていたパンツが生き返った時の感覚は、まさにそんな感じだ。そして、このポイントは、自分でできた、というところにあるかもしれないと思った。私にもできるじゃん、という感覚。目の前がワクワク可能性に満ちてくる。

 

「自由になるということは、自分で出来ることを増やしていくことなんじゃないかな、とここ数年思っている。自分でモノをつくり出せること、状況をつくり出せること、自分で考えられること。いざとなったら自分でどうにかできる。そんな心強さとたくましさをたずさえた自由に憧れる。」(P.32)

 

全部が全部自分でやれなくてもいい。でも、全部が全部業者さんではなく一部だけでも自分でやってみる、という発想。いいなあ、リビセン。古材を使ったDIY教室や金継ぎ教室などのワークショップもやっているらしい。今度是非行ってみたい。

ReBuilding Center JAPAN

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